【フルベイト と フルベイトシャープ】  D3福士知之

この冬(おそらく11月末頃)フルベイトシリーズに加わる

フルベイトシャープは110mm・30gという高比重モデルです。

 

最大の特徴はボディが細身であること。

計測数値では一番太い部分で、幅が12㎜・高さ14.2㎜となります。

 

 

 

フルベイトのほうはというと、ファットで短いボディ。

計測すると一番太い部分で、幅が15.3㎜・高さ17.2㎜となります。

 

 

数値的には約3㎜の差なのでそんなに差がないと思われるかもしれませんが、

このクラスのルアーの3㎜はとても大きな差になります。

パット見でもかなりシルエットの違いがあるのがわかると思います。

 

 

 

では、使い分けというかアクション的にはどうなんですか?

なのですが

簡単に2つを比べてみるとこんな感じになります。

 

【沈下速度&浮上速度の違い】

〇フルベイトシャープ

高比重なので沈下速度も速く、浮き上がりも遅い。フルベイトよりも速巻きに対応する。

 

〇フルベイト

ファットで顔も大きいので、沈下速度は並。リトリーブ開始ですぐに水面直下まで浮上するので、よりスローなリトリーブスピードの釣りに向いている。

 

【アクションの違い】

〇フルベイトシャープ

メトロノームのように『フラフラ』と規則正しくボディを振るスイングアクション。

 

〇フルベイト

『ブンッブンッ』と力強い水押しでテールを大きく振り回すスイングアクション。

 

【飛距離の違い】

これは使用する人のキャスティング技術や癖によって変わるので一概には言えませんが、僕のキャストではフルベイトシャープのほうが飛びます。

細くて重いですからね。

どちらも思い切り飛んでいくので飛距離云々に関しては心配ご無用だと思います。

フルベイトの方は、

使っていただいている方が多いのであえて説明は要らないと思います。

 

このフルベイトシャープについては、

『いったいどんなアクションのルアーなんですか?』

とよく展示会や店頭などで聞かれますので

その時には正直にこう伝えています。

『 KJ―11を超~飛ぶようにしたものです 』

 

こう言うと、

『そんなこと言って大丈夫ですか?』と思うかもかもしれませんが、

リセントの寺田社長とはそれくらい冗談を言える間柄なので安心してください。

寺田社長が居なかったら僕は釣り具メーカー始めてないんです。

次回で説明しますね。

 

話を戻して、

僕らKJ世代の道産子アングラーはあのジグミノーにどれだけ釣らせてもらったことか同世代の皆さんは共感できると思います。

おそらく群れを射程圏に捕らえているときは最強のジグミノーでしたからね。

そして、欠点も知っていたはずです。

なので僕なりにブラッシュアップしました。

それがフルベイトシャープのコンセプトです。

 

 

 

かなり年月が経ちますが、

以前に、福女子(福ナゴ)というアプローチタイプの違うジグミノーを製作してきた傍らで、

『KJ-11をあのアクションでもっと遠くに飛ばしたい…』

と思いバルサで製作していた細身のジグミノーが僕の引き出しの中にありました。

当時はこれをいつかプラスチック製でやりたいなぁと考えてましたが

放置したまますっかり忘れました。

なにせ10年くらいメタルジグとシンキングミノーの全盛期だったので、

ジグミノー出してもダメだろうと考えてましたから。

 

 

それが近年フルベイトが認知されていく中で、

もっと海での使用に特化した高比重のジグミノーも欲しいな。。。

と考えた際に、このルアーの存在を思い出したのですが、

当初は無数にある佃煮状態の試作品やプロトルアー箱の中から発見できず、

仕方なく新たなフラットサイドタイプのジグミノーを製作しました。

こいつがなかなかの高性能なんです。

 

 

そして、いざGOをかけようとしたタイミングでフルベイトシャープの原型を発掘。

すぐに樹脂プロトを製作して実釣するとやっぱり良い。

この春には二橋君にも協力してもらって実釣。

やっぱり釣れる。

ここで困ったのが、どちらを製品化しようかということ。

 

 

どっちも良い。しかも釣れる。

だけど、両方を出すとジグミノーだらけになるからそういうわけにはいかない…

 

 

迷った挙句に、

フラットサイドはボリューム的にフルベイトと近くなってしまうこと、

そして当初予定していたプロトが発見されたのだから、

と初志貫徹で選択したのがフルベイトシャープです。

 

 

釣行回数はそんなに行けませんでしたが、

いく都度でちゃんと海サクラを仕留めてくれたのは全部フルベイトシャープです。

 

余談になりますけど、

KJの全盛期時代からずーっとジグミノーばかりで釣ってきたのでジグミノーの設計にはすごく自信があるんですが、海用と限定したときに性能だけでいえば、

硬質EPS素材で設計した『福ナゴ(福女子)』が一番完成度の高いジグミノーだと僕は今でも思っています。

 

根強いファンの方からは復刻の声を度々もらいますが、

現在では販売価格が4000円を軽く超えてしまうと思うので、

そんな高価なジグミノーを海でフルキャストする勇気は僕にはないです。

ですから復刻の予定もないです。すいません…

 

 

さて、リセントのKJ-11とフラットサイドのジグミノーについて触れましたが、

これには余談がありますので次回に。

 

 

D3 福士知之

 

 

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