福士知之
“ルアーの元祖”といわれるだけあって
オールドスプーンには色々あります。
マニアックな話はさておき、個人的に気に入ってるものを。
王道も奇天烈も、スプーンといえばやっぱりABUです。
手を替え品を替え。
工夫されたABUのスプーンは男臭い工作感があります。
他でいえばブランチャードのアルゴンキン(奥)
も絞りとカーブが工夫されてます。
こっちは女性っぽいデザインです。
しかしイトヨレ最強です・・・
ABU以外のスプーンの王道的な形状で言えば
クロコダイル ・ サラマンダー・ヤムトランド・フラミンゴ
などが人気ですよね。
これらはアクションも秀逸ですので、このままの形状で、
フィニッシュを変えたものも日本のメーカーから発売されてます。
僕はオールドルアーに大きな興味や収集癖は無いのですが
ABUのトビーは思い出があります。
小学生の頃、父に連れられ行っていた支笏湖のチップ(ヒメマス)釣りで
黒金と銀色が大活躍していました。そして河川では全く釣れない。
子供だったのでトビーはチップ用のルアーだと思っていました 。
古いスプーンの思い出はトビーとオークラくらいです。
あとは、釣具店のバーゲン品やセットルアーの方が思い出があります。
思い出話は不必要ですね。
前回の話の中でスプーンは個性を出すのが難しいと言いました。
そんな中で、最も奇天烈なのは、やはりこれじゃないでしょうか。
スーパーデューパー (byオリムピック)
ピンセットみたいなこの形状。
調べてみると本家が舶来物にあるようです。
2pcs構造なのでスプーンに入れてどうか微妙ですけど。
そしてこの奇抜な形状がもたらすアクションですが、
切ないくらいに “無し” なんですね。糸ヨレが凄いんです。
この形のままではどうやっても速度を上げると回転してしまいます。
U字の開口部をペンチで閉じてやると低速でフラフラとスイングしますが
それではこの思い切ったデザインの意味が無い。
非常に残念です。
この形状でそこそこ普通にアクションしてくれれば
見た目のパンチ力でまちがいなく超新星的なルアーだったはずです。
普通であればスプーンをこの形状に持っていこうと思わないですから。
どうやったら、“ つ の字 ” にという発想になるんでしょうかね。
もし仮に、この形でアクションが抜群に良かったとしても
現代では販売会議等で世に出る前に葬られていたはずです。
『こんなの売れない』の一言で。
そう考えると、このまま世に送り出せた時代も凄いです。
このスーパーデューパー。
ルアーとしてじゃなく造形物として見ても、
全体幅に対しての長い方と短い方の比率とか、
“ つ の字 ” 隙間の幅であったりとか、
眺めていると胸にモヤモヤとした違和感を感じますので、
きっと物としてのバランスがあまり美しくないというか微妙なんでしょうね。
あくまで僕の感覚ですけど。
しかし個性の出せないスプーンのなかで
スーパーデューパーを超えるデザインは現在でも無いのではと思います。
※これの元を作った本家が凄いのですが。
ケースの中に無数のルアーが佃煮状態で入っていても一発で見つけられる。
このルアーはそんなビジュアル的なパンチ力だけですが、
詰まらない横並びを作るよりも、
振り切った奇天烈なものには力強さを感じます。
最近のスプーンでも素晴らしいのがありますよね。
王道系ではなく、どちらかというと奇天烈系の。
写真も無いのでまた次回。