「トラウトの不思議」 D3仙北谷祐輔

今年8月。

巨岩が立ち並ぶ深山へ足を運びました。

 

清流が岩盤を打ちつけ、長久の年月をかけて削られ形成されたプールは、

透明度の高い水面からも見通すことのできない深度がありました。

それまでの行程ではトップウォーターや表層へのアプローチでアメマス、

イワナ、オショロコマ、ニジマスの反応を得ることができ、

トラウトたちの意識の比重は陸生昆虫等に傾いていると感じ取れていました。

 

 

 

 

しかし、まさしく1級ポイントと言えるそのプールでは

今までのメソッドでは反応が渋く、

目先を変えようとd3カスタムスプーンをボトムへ送り込んでみることに。

 

BKT511エクルージョンの感度と

人差し指のフェザリングの感触を頼りにフリーフォール。

表層の複雑な反転流にラインを取られないよう意識しながら

ボトムバンプしていると微かな感触が伝わり、

ティップがググっと引き込まれました。

 

アメマス、ニジマスならば良型とは言えないが

イワナやオショロコマなら写真を撮ろうと考えながらランディング。

 

すると、

一瞬では判別できないトラウトが柔らかなラバーネットに収まりました。

撮影用ベッドを整え観察してみると、まず目に入るのは黄色の斑点。

色相環でいうと赤色の寄りではなく緑色寄りの黄色で、

これまでに釣ってきたオショロコマとは明らかな違いがありました。

 

パーマークや虫食い模様、

オショロコマの特徴である鼻の伸びたような上唇などの特徴から、

現場ではオショロコマと推定し、リリースしました。

 

数日後、この地区のトラウトの歴史に詳しい大先輩に、

この時期、この区間におけるオショロコマの特徴について尋ねてみると、

 

「3〜40年ほど前にも同系統のオショロコマが確認されていて、

有識者の方が探査釣行を敢行したこともあります。

極わずかに脈々とDNAを繋いでいる可能性はありますね。」

 

というヒントを与えてくれました。

 

また、別の先輩からは

 

「山脈を超えたとある河川の最上流域で

同系統のオショロコマを釣ったことがある。」

 

とも。

 

こういったトラウトの「不思議」いや、「神秘的」な造形、

成り立ちをもっと探求したいと思った夏の思い出でした。

 

来シーズンは体が震えるようなビッグワンを釣りたい。

そしてなにより、心が揺さぶられるような綺麗なトラウトに出会いたい。

 

〜タックルデータ〜

 

【ロッド】  Blakiston511eエクルージョン

【リール】  ABU Cardinal33

【ライン】  VARIVAS Double Cross PE 0.6号

【リーダー】 VARIVAS EXTREME SHOCK LEADER 6lb

【ルアー】  d3カスタムスプーン

【ネット】  Branchline ランディングネット

 

D3フィールドスタッフ

仙北谷祐輔

 

About the author: fukushi